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映画『アポカリプト』

ネット配信が多いけど、けっこう映画は観る。
大抵は観た人の評価欄が選ぶ基準だ。
一昨日、珍しく、その評価が満点っていうのがあって、迷わずそれを観た。
よくできた映画だった。
2時間超えにも関わらず、あっという間に観終わったって感じ。
夢中で観ちゃった。

検索したら、やっぱ評価は高いんだね。

「アポカリプト」「手に汗握る」という常套句を体感できる痛烈なアクション映画

 時代は16世紀初頭。舞台はユカタン半島。使われる言語はマヤ語。背景として描かれるのは帝国の自壊。スター俳優は皆無。

 こんなふうに紹介すると、歴史ドキュメンタリーのような映画を連想する人がいるかもしれない。外れ。「アポカリプト」の主人公は豪快に戦う。風のように走り、豹のように跳び、無尽蔵の体力と気力で生き延びる。

 ジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)は若い戦士だ。といっても、通常は深い森の村で静かに暮らしている。生活の大半は狩りと子づくりに割かれているようだ。

 その村がマヤ帝国の軍隊に蹂躙される。殺戮と強姦の嵐が襲う。生き残った者は奴隷や生贄として都へ連れ去られる。帝国の暴虐は容赦ない。人命は鴻毛よりも軽い。

 大まかに分ければ、ここまでが第1部と第2部だ。凄惨な戦闘は展開されるが、残酷描写は意外に少ない。心理描写はもちろん最小限だ。一方で、アクションの速度と密度が際立つ。古典的なカットバックを多用しつつ、監督のメル・ギブソンは、荒々しい自然と男たちの強靭な肉体を直交させる。

 導火線はしだいに太くなる。いや、爆薬が破裂して、さらに大きな爆薬の炸裂を促すと見たほうがよいか。第3部に用意された森の障害物競走は、非常に見ごたえがある。なによりも、実際にクロスカントリーの選手だったヤングブラッドの身体能力が飛び抜けて高い。第二に、森の自然がアクションによく練り込まれている。地形も獣も植物も、活劇のスパイスとしてフル活用される。しかも、デュオで迫る悪役の危なさが尋常ではない。たぶんこれは、ギブソンのパラノイア的特質がプラスの面に出た結果だろう。「手に汗握る」という常套句をここまでリアルに体感できる映画は、近ごろでは珍しい。(芝山幹郎)


by mizunomari | 2017-09-17 11:46 | 映画 | Comments(0)  

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